2009年11月16日

ポスドクさんの結婚

 

ポスドクさんの結婚




オバサマの経営するカウンセリングセンターの近所には、

大きな大学がいくつもあるせいか、


ポスドクさんや大学院生の相談者が、よくお見えになるわ。




そういうこともあって、


博士号取得者のような高学歴者の就職の厳しさを知ることになり、


数年前から、このブログでも、

ポスドクさんや大学院生さんの話をよく掲載しています。



そこで、最近、あるポスドクさんが、相談に来られ、

ポスドクや研究者の結婚について興味深い話を語ってくれたので、

掲載します。(内容については、その方の了解済み。)



以下はその発言です。




「僕らが結婚するというのは、大変ですよ。定職が無いんだから。」

「ガールフレンドがいる奴は、それなりにいるけど、
結婚となると考えちゃうなぁ〜。」

「向こうの親に、『職業は何?』と聞かれたとき、“研究員”と答えたけど、
“非常勤です”とか、“2年契約です”とか、言えないでしょう?」

「更に年収について聞かれたりしたら、冷や汗モノですよ。」



「ふ〜ん、それは大変ね。でも結婚すれば、奥さんに働いてもらって、

あなたは奥さんに養ってもらうという、戦略もあるじゃないの?」と、

オバサマが悪戯っぽく言うと、



「そんなのありえませんよ。僕もそうだけど、相手の女性も定職がない。
同じ院生だった
りするから、境遇は同じなんだから、
そういう戦略はとれません。」



「その時は、どうやって食べていくのかしら?」とオバサマが聞くと、


2人でポスドクの口を捜しながら、国内外を流浪して、
ここで2年、こちらで3年とか、色んな研究機関や大学を渡り歩いて、
給料もらうしかないでしょう。」



「それは厳しいわね〜。非正規雇用の工場労働者の皆さんと同じ境遇ね。

オバサマが奥さんの立場だったら、『もおぉぉ〜イヤ、こんな生活!! 

私と研究と、どっちが大事なの!!』って叫んじゃう。」

とオバサマが言うと、



「そう言われると、あれこれ口論するだろうけど、
結局は“研究が大事だ
と言っちゃうでしょうね・・・辛いけど。」



「じゃあ、最初から同じ境遇の院生じゃなくて、会社でバリバリ働いている、
キャリアウーマンのような人と結婚したらどうかしら。養ってくれるかもよぉ〜。」


「でもそれぇ、何か惨めな感じがするなぁ・・・。
第一、向こうが結婚を承知しないでしょう。」


「ふ〜ん、女性ポスドクの場合は、
正規雇用の職についている年上男性、
例えばメーカー勤務の技術者みたいな人と、
ポスドク1年目ぐらいで結婚すれば、研究も続けられるし、
生活も安定するし、子供も産めるし、良い人生戦略になるのにねぇ・・。」と、

オバサマが言うと、




「男と女では社会での立場が違いますよ。
いかにキャリアウーマンだって、自分の夫が、
博士号持っているけれど定職が無く、
どこの会社も雇ってくれないような、旬の過ぎた30代の男では、
相手にしたくないでしょう?」


「せめて、どこかの大学の助教とかだったら、
キャリアウーマンのような人も、
それなりに相手してくれるだろうけど・・・。」


「あぁ・・こんなことなら、高校の時に、もう少し偏差値上げて
医学部に行って、医者になっておけば良かった。
それなら下っ端の医者でも、一応、就職先はあるから・・・。」

「あるいは、先生(オバサマのこと)が、ブログに書いていたように、
生活確保のため、僧職とか神職についておこうかなぁ・・・。」



だんだん、話が暗い方向に向かい始めたので、



「あなた自身は、どんな女性がいいのかしら?」とオバサマが尋ねると、



「自分には無い、何か華やかなムードの人がいいですね。」



「じゃあ、芸能人とか、キャバクラ嬢のような人?(笑)」



「いやぁ〜、そういうのは苦手だし、結局は破綻すると思います。」



「どうして?」



「昔、ヴォルフガング・パウリという
スイスの有名な理論物理学者がいたそうですが、彼は何を思ったのか、
酒場で歌っている女性歌手に一目ぼれして、結婚したそうです。」

「でも二人の人生観は違いすぎるうえに、彼女は奔放な人で浮気ばかりするので、
パウリはかなり苦しんだそうです。だから人生観が違いすぎる人はダメです。」



「あっ、その話、オバサマも知ってるぅ〜。
パウリさんは、その心の苦しみを解消するために、
当時のスイスの臨床心理の大家、ユングさんのところに、
心理療法を受けに来たそうよ・・。」



「へぇ〜そうですか、意外なところに接点があるんですね。」



「でも、そのへんが、突破口じゃないかしら。」



「というと・・・?」



「ポスドクの結婚というと、相手は身近にいる同じ大学院生やポスドク、
そうでなかったら、
会社で働いているキャリアウーマンぐらいしか思い描けないけど、
今言われた“華やかさ”というのをキーワードにしてみれば、
新しい道が見えるかも・・。」



「具体的にどういうことですか??」



「う〜ん、オバサマもはっきり言えないんだけど、

 例えば、“華やかさ”という、あなたに無い要素を持ってる女性とペアを組み、
あなたの御専門の高度な知識や研究力を、
その“華やかさ”に融合させることで、
何か新しい事業を起こすとかできないかしら?」



「そうしたら、夫婦で事業を共同運営することになり、
会社や大学に雇ってもらうとか、誰かに養ってもらうという発想から、
抜け出ることができるんじゃないかしら?」



「でも、それでは、研究ができなくなるんじゃ・・・」



「そ〜お? 
むしろ自分の自由な発想を生かせる研究が出来るんじゃなくって?」



「そうですか・・・?」



「ポスドクというのは雇用期間限定の雇われ研究員だから、
自分独自の研究なんて出来ないでしょう? 
所属している研究室の研究業務を請け負うことで、
給料を頂いているわけだから、
研究内容は研究室のボス先生の指示するものに限定されるでしょう?」



「ええ、そうですね・・。」



「でも、御自分で新しい事業となれば、いくらでも自由な発想で開拓できるわ。」

「新しい事業では、新しい研究開発が必要になるから、いくらでも斬新な研究が

できちゃう。そういうように事業を計画するのよ。」



「でも、研究費はどうすれば・・・。」



「銀行や中小企業サポートの財団・基金から融資してもらえばいいのよ。
そのためには、きちんと自分たちがやろうとしている事業を法人化しておくの。
そうすれば融資を受けやすくなる。
何も文部科学省の科研費だけが研究費ではないわよ。」



「企業に自分のアイデアを売り込んで、企業との共同研究という形もできるわ。
オバサマが経営している、このカウンセリングセンターだって、
カウンセリング提携してる企業からのお金で、運営されているようなものよ・・。」



「認知科学専攻してるオバサマの知人は、
ある大手企業に “認知科学から見た効果の高い広告は何か”を
研究するということで、アイデアを持ちかけたの。」

「そして、その企業の宣伝部から研究費を出してもらい、
最近流行の脳機能画像法を使って数年間、研究してたわ。
今では、そういう研究とコンサルティングをする会社を設立しちゃってるわよ。」



「そうなんですか・・・。」



「結婚を障壁と考えるのではなく、結婚することをむしろチャンスと捉えて、
それを生かせるように人生設計できないかしら?」



「う・・ん。」



「似たような境遇の者同士では、発想も似てしまい、
ブレイクスルーが出てこないけど、異なる境遇の者でペア組めば、
いいアイデアが出るかもぉ〜。」



「はぁ・・・。」




カウンセラーは、自分がたくさんおしゃべりしてはNGね。

でもオバサマ、おしゃべりなので、

ついつい興奮してしゃべりすぎてしまったわ。(^;^!



ポスドクさん、返す言葉もなくて、最後は黙り込んじゃったけど・・。

ゴメンナサイね。

今日の相談料は半額でいいわ。(笑)

じゃあ、またね。 (*;*)/



posted by ゆみりん at 12:13| 東京 ☀| Comment(1) | TrackBack(0) | アカデミア・大学院 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ちょっと通りかかった者ですが、この問題に対するあなたの回答を見て、なぜ彼が黙り込んでしまったのか、ものすごくよくわかったので、書き込みます。

まず、ポスドクっていうのは、その分野を研究したくてなるんですよ。
ただ自分の能力を生かした研究がしたいっていうのなら、企業の研究員になりますよ。その方が収入だって断然いいし、安定してます。
パウリが出たんで物理の話を例にとります。
理学部物理学科の殆どは大学院に進学します。そして修士を卒業する時、多くの人が就職か博士後期進学か悩むことになります。
それでも大学の研究を選ぶ人はそれだけ自分の専門分野が好きだということです。
さらにポスドクとして働くということは、一般人と比べれば並大抵の覚悟ではないですよ。
それに院生がポスドクになるのはポスドクになりたくてなるんじゃありません。ゆくゆく自分の科学者としての能力が買われ、助教や准教授、教授の職に就くための登竜門なんです。
ポスドクの業務内容はご指摘の通り、自由なものではないです。しかしその仕事自体、人類の知識を前進させる可能性を持った仕事なのです。

さて新しい事業を立ち上げるという話ですが、当人がやりたい研究が個人で融資を受けながらできるでしょうか。分野にもよりますが、私は難しいと思います。
なぜならお金が儲からないからです。考えつくところですと、家で物理専門の学習塾を開いて、裏でコンピュータを使って理論系の研究をするとかでしょうか。零細私立大学ですね(笑)
実験系になるとこれはもう無理でしょう。
例えばLHCのような大型加速器を使いたかったらどうしますか?
最先端の研究をしようと思ったら、国家予算を受けられる大学等研究機関に在籍し、その設備と人員をフルに使わなければ非常に難しいんです。

恐らくこの方もポスドクをやめるつもりはないんだと思います。当たり前です。
この問題に対する科学者視点で最も妥当な回答は、理解してくれる女性と結婚するってことです。
彼はこの問題を既に解いていますね。人生観が違いすぎる人はダメと言っています。対偶をとれば「良いのは人生観の同じ人」まぁそういうことでしょう。
Posted by at 2010年04月13日 01:36
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